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現地レポート33: PAY NOW_シンガポール

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 現地レポートシンガポールからです。みなさん "PAY NOW"というアプリはご存知でしょうか。最近知ったのですが、シンガポールで最近流行り始めているアプリ形式の送金用アプリのことです。

www.abs.org.sg

 シンガポールでは、これまで非接触型のクレジットカードもしくは通常のクレジットカードの利用が主流の方法でした。その後、日本と同様に独立系QRペイメントが方法としては出て来ましたが、このQRが出てくる以前から非接触の方法が普及していたシンガポールでは、QRは普及しないだろうなと思ってはおりましたが、案の定そのような状況でした。

 そして今回訪問してみて、このPAY NOWが一気に普及していることに気づきました。”PAY NOW”は、アプリと銀行口座との紐づけがなされているアプリで、個人同士、法人から個人への支払いも含めて、金銭のやりとりができるアプリとなっております。またその振込手数料は、送金側も受取側も手数料を払うことになりますが、数十セントに設定をされており非常に使いやすいスキームとなっております。利用用途としては、個人同士のやりとりだけではなく、法人から個人への給与の支払いや、屋台で食事をした時の支払いにも使うことができるため、殆どキャッシュをもたずに生活ができる状態となっております。

 元々、シンガポールの各銀行は、各銀行ごとにアプリの開発をして資金のやり取りをできる形にはなっておりましたが、シンガポール政府として各銀行間のやり取りについても音頭を取って統合することによって、この便利な仕組みができあがったようです。そして、参加している銀行は、UOB, OCBC, DBS, Maybank, HSBC, Bank of China, Standard Charteredと、シンガポールに住んでいる人であれば必ず持っている銀行群が参加しております。
 またこれが普及した理由として考えられますのが、個別の会社が提供しているQRではなく、広く広範囲に渡って利用することができること。また給与の支払いもこのスキームを通じて受けられることが理由してあるかと思われます。一方で、この話を聞いた時に、ちょっとギョッとしたことですが、これを介して実施されるお金の流れを、全てこのデータを管理している組織に補足されてしまうなぁということでした。いずれにしても、このようなドラスティックに社会の流れに乗っかりながら、構造的に変化を起こしてしまうようなやり方は、シンガポールらしいなぁと改めて思いました。