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【閑話休題】金からQRへの移り変わりに関する考察

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 その昔20年ほど前にマレーシアに行く前に、NTTdocomoさんの携帯電話を使っておりました。福島県の安達太良にある山の上の訓練所で電波入らないなぁと四苦八苦していたのはいい思い出です。そしてマレーシアに赴任をしましたが、その当時既にマレーシアでも携帯電話が出始めており、マレーシアでも田舎に赴任するスタッフには、固定電話があまり行き渡っていなかったため、緊急連絡用にモトローラの携帯電話を持たされておりました。また私が赴任したのもジョホール州の片田舎の学校であったため、固定電話で話をするためには、職員室までいかないといけないという状況ではありました。それかコインを入れて話をする公衆電話でした。。。

 

 今回の本題の金からQRに関してですが、何故上で携帯電話の事例を出したかと申しますと、東南アジアにおいては、技術革新の恩恵を一足飛びに経験するという事例を示したかったからになります。携帯電話で行きますと、一般庶民にとってはポケベルを持つ時期が数年続いて、その後にPHSを持つ時期があり、その後に漸く携帯電話を持つという経緯を辿ったかと存じますが、途上国においては途中の段階を排除して一足飛びに携帯電話を持つ環境に行ってしまいました。そして、どの途上国に行っても同様なのですが、一般庶民の立場であっても最新のガジェットを所有するために、給料数ヶ月分もの金額の携帯電話を挙って購入をし、更に利用率が上がるというようなトレンドとなっておりました。

 

 東南アジアの方々は伝統的に、資産を金で保有することが一般的でした。特に純度が高い24金で保有することが慣習となっておりました。理由としては、昔から銀行がそれおほど多くなかったこと。また貨幣にしてしまいますとインフレが起こった時に対処ができないこと。そして火事や盗賊などのトラブルに直面した際には、身につけて持ち出すことが容易にできるために、資産を金に置き換えて所有をするということをしておりました。

 その後、時代が下って来て支払い方法が貨幣からクレジットカードに移って来ましたが、インフラがあまり発達していなかった地域では、クレジットカードでの支払い自体がそれほど普及しませんでした。といいますのも、今でこそインターネット回線を介して決済ができるようにはなっておりますが、クレジットカードの決済端末自体が、電話回線にしか対応していなかった時代がございました。日本でもたまにありましたが、回線が安定をしないとカードを通してもセンター側受け付けないというような自体が起こります。そして、そもそも固定電話回線が普及してないような地域では、カード決済端末自体を使うことができないために、カードが普及しないということが起きておりました。以前、カード普及率と固定電話の普及率を調べた際には、そこに相関関係を認めることができました。

 そして、そのような環境のところに、QRペイメントが普及した場合どのようになるでしょうか?今の中国や東南アジアの地方がそうだと思われますが、元々カードが普及してない、固定回線が普及してないという状況の中で、銀行等を介さずにスマホだけがあれば決済ができるイノベーションが流れ込んでこれば、そこに一気に人は流れ込んで行く形となります。

 さらに言いますと、日本やシンガポールなど既に既存の技術がかなり浸透しており、何年も十数年もその技術に慣れしたしんでしまっている場合は、人の心理的なスイッチングコストやインフラ自体のスイッチングコストが非常に高くなるために、新たな技術の普及にはものすごく時間がかかる話になってしまいます。例えば、日本で言いますと、スイカパスモなどの交通系のカードを使った支払い方法に慣れ親しんでしまっていることや、シンガポールのクレジットカード付属の非接触型決済方法に慣れ親しんでしまっておりQR決済が中々普及しないことが、それに当たると考えております。